|
夢追い人・・・その名は錬金術師 第2話
錬金術の文献は夥しく、しかも記述が比喩的であり、謎めいた言葉、判じ物めいた言い回しなど頭が痛くなるようなモノばかり、思わずたじろがざるをえません。
錬金術の歴史はエデンの園のアダムにまで遡ります。錬金術の技術、学説?をキリスト教の教義になぞらえて正当化しているのです。さらに、もうひとつの説は発祥の地と称するエジプトの女神イシスに、天使アムナエルが錬金術の知識を教える代償としてセックスをさせろと言い寄ったという艶っぽい説もあります。 いずれにせよ神聖不可侵の技術であることを標榜する,逆にいえば怪しげな学説の権威付けのためだったのです。 諸説はともあれ、錬金術が明確な形で現れたのは、紀元前数世紀といわれています。人類が単なる食物採取の作業から、農作、牧畜を経て共同体を作り、やがて余剰収穫物によって、専門化した職人、技芸を養うことが出来るように成ると同時に冶金、金属加工、鋳造の技術が自然発生的に生まれたのです。そして、ずっと下がって17世紀半ばまで、上は皇帝、法王、下は下級官吏、職人に至り、なんと、かのシェークスピア(1564〜1616)までも、並々ならぬ錬金術の知識を持っていたのです。 西暦290年にローマ皇帝がエジプトの反乱を鎮圧したさいに錬金術が他所に流れることを危惧して、この手の書籍をことごとく焼いたとのこと。当時、冶金は古代エジプトが最も進んでいたと思えます。 ところで、「錬金術」はアルケミーといい、アラビア語のケメイア、すなはち「銀と金の調合」の意味に定冠詞アルを付けたもので、やがてラテン語化したそうです。 現存する最古の文献は、ギリシャ語で書かれたパピルス古文書で、これには、金と銀の作り方、金属の精製法と分析法、金属の漂白法、銅合金化法、金属増量法、金以外の金属を金に見せるための色を変える法、金や銀に非金属を混ぜて合金を造ったり、宝石の模造品を合成する製法が述べられています。 そこに書かれている文章は難解で、しきりに同じ文句を繰り返し、やがて陳腐な決まり文句になっていくといわれ、たとえば「石ではあるが石ではなく、誰にも知られることなく万人に知られている石、賢者の石。いつも逃げ回り、自らの本質に押し入る。万人の知られざる聖水、金属でもなければ流動する水でもないゆえに、その水質は捉えがたいもの」・・・と、こんな調子で、なにを言っているのかわからない。ちなみに、これが「銀の水」、即ち水銀のことだそうです。 |