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第十四話 刃物の切れ味をよくする方法と永持ちさせる工夫@ 日本熱処理学会名誉会員 大和久重雄 刃物は切れ味が大切です。その切れ味は刃物の材質、硬さ、刃角、砥ぎなどによって変わってきます。刃物が切れなくなるのはさびが主原因です。だから材質としてはステンレスがよいのです。 次は硬さが大切です。昔はさびなければいいというので、さびに強い18-8(Cr-Ni,SuS304)(A系)を刃物に使いました。この鋼はさびには非常に強いのですが、焼きを入れても硬くならないので、このステンレス刃物はさびない、切れない、息が切れると大変不評判でした。そこで、焼きが入って硬くなるステンレスが使われるようになりました。これがSuS420J2やSuS440C(M系)というものです。これにしたら焼入れで硬くなるし、おまけにさびない、切れ味もよい刃物として盛んに使われだしたのです。その硬さはビッカースという硬さ(HV)で700〜800です。この硬さはガラス(500HV)より硬く、水晶(1000HV)よりも軟かいのですが、毛髪や爪(約80〜100HV)にくらべると遥かに硬いのです。剃刀だって800HVあるのですから、これが100HVそこそこの毛髪に負ける訳がありません。さびで切れなくなるのです。安全剃刀の刃だって700〜800HVはあるのですが、普通の鋼ではさびて駄目になったので、ステンレスにしたら約3倍もつようになったのです。刃物にさびはいけません。刃物で有名なドイツゾーリンゲンのヘンケルの刃物はSuS420J2級のステンレスで作られています。
刃角は包丁27°、剃刀18〜20°で、日本刀は大体30°ぐらいです。余りシャープではいけませんし、さりとて鈍角でもいけません。 砥ぎの原則は使い勝手に砥ぐということです。剃刀は押し切りですから切れ刃に直角に、包丁は大部分が引き切りですから切れ刃とやや斜目に砥いで下さい。砥ぎ肌は鏡のように(ミラーフィニッシュ)にすることが大切です。 |