第五話 人間だもの (有)仁メタル 代表取締役社長 田嶋光三


 「相田みつを」の言葉である。

 それがどうした、と言われる前に、私自身の事を語っておかなければなるまい。

 私の職業は鋳物屋であり、わが会社のスローガンは「決められた日に決められたものを納める」ということである。こう言うと「馬鹿々々しい、当たり前のことを言うな。」と思われるに違いない。ところがわが稼業では仲々そうはいかない。寸法を間違えたり、巣が出来ちゃったりと、何かとトラブルが絶えない。情けないことに、いつも顧客には言い訳と謝りに終始しているのが現状だ。

 最近、看護婦さんが薬品を間違えたとか、工場でミルクに消毒液が混入してしまったといった記事が大きく報じられている。

 いわゆる人為的ミスである。ハワイの「えひめ丸」事件も、同じく人為的ミスである。

 私はこんな事件を起こしてしまった当事者が体をすくめて謝る姿がたまらなく哀れに思えてならない。自分にダブらせてしまうからだ。

 艦長が査問委員会の前にガムを噛んでいたとか、ワイフと手を繋いでいたと非難されている。「けしからん」という報道姿勢である。野球の選手やゴルファーがガムを噛むことで集中力を高める事はあまり知られていない。彼は女房の手を必死の思いで握り締めて心細さに絶えていたのかもしれない。確かに、日本人受けする反省のポーズではない。

 しかし・・・・・・報道側や我々に、あやまちを犯した者とはいえ、そこまでえらそうに、居丈高に相手を攻める資格があるのだろうか。

 「人間だもの」間違いはあるさ。そうさ、だからこそ、あってはならない人為的ミスを起こさないように幾重にもチェックシステムが必要なのではないだろうか。分かっちゃいても、それでもミスがある。

 周囲にあたえる迷惑を考える時、「人間だもの」では澄まされない。気を引き締めてコトにあたらなければならないと思う今日この頃ではある。