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第六話 熱処理(日本刀を主体に)アラカルト1 ●刃金・熱処理とは… 日本熱処理学会名誉会員 大和久重雄 鋼(刃金)とは: 鋼とは鉄(Fe)と炭素(C)の合金です。鉄の中にあの軟らかい炭の粉が入ると硬くなるのです。そこで炭素量の多少によって硬い鋼、軟らかい鋼と区別されています。炭素量の限度は2.1%止まりで、それ以上は鋼ではなく、鋳鉄と名前が変わります。2.1%というと消費税(5%)よりも少ない量ですが、それが上限です。 鋼は刃金ともいわれ、日本刀の昔から焼入れ(熱処理)で生かされるのです。名刀も鈍刀も焼入れ次第です。つまり、鋼は熱処理によって硬くもなり、軟らかくもなるのです。いわば熱処理は鋼に対する義務教育のようなものです。どんなに生まれのよい鋼でも熱処理という教育を受けなければものになりません。 鋼の中にニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)などの味の素を入れると特殊鋼になって特殊な性質が生まれ、熱処理のメリットも倍増されます。
熱処理とは: 熱処理とは簡単に云うと、”赤め”て”冷やす”技術です。赤めるのが”火加減”、冷やすのが”湯加減”です。その重要度は加熱が2割、冷却が8割、つまり二八のそばということです。加熱よりも冷却によって性質が千変万化するのです。早く冷やせば硬くなり、遅く冷やせば軟らかくなるのです。 熱処理には焼なまし(軟化)、焼入れ(硬化)、焼戻し(靭化)などといろいろな種類がありますが、なんと云っても焼入れが熱処理の主役といってよいでしょう。 また、熱処理は別の見方をすると、母体を対象にするバルク熱処理と表面だけを目的とするサーフィス熱処理の二つに分けられます。ズブ焼入れというのが前者で、浸炭、窒化あるいは高周波焼入れ、火焔焼入れなどは後者に属します。近頃流行のC.V.D、P.V.Dなどは表面改質といわれています。いわば表面エステですね。 |